フォシーガとダパグリフロジンの適応の違い!心不全に使える?ジェネリック変更の罠

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はじめに

こんにちは、薬剤師のおちょおまんです。 今回は、最近ジェネリックが発売され話題の「フォシーガ(ダパグリフロジン)」の先発・ジェネリックの適応の違いについてです。

「高いからジェネリックにして」と患者さんに言われて、何も考えずに変更していませんか? 実はそれ、病名によっては「適応外」となる事があるのです。

新人薬剤師が必ず知っておくべき、現在の「用途特許」の罠について解説します。

フォシーガのジェネリックが出たから、全部切り替えれば在庫がスッキリするのだ! 患者さんも安くなって喜ぶのだ!

ちょっと待ったぁ! その患者さん、糖尿病じゃなくて『心不全』で飲んでるんじゃない? もしそうなら、ジェネリックに変えた瞬間、アウトよ!

【フォシーガ】心不全と腎臓病の壁!糖尿病以外は「先発一択」

まず、現在のフォシーガ(先発)とダパグリフロジン(後発)の適応症を比較してみましょう。ここに決定的な差があります。

① フォシーガ錠(先発品)
・2型糖尿病
・1型糖尿病
・慢性心不全
・慢性腎臓病

② ダパグリフロジン錠(後発品)
・2型糖尿病 (※2026年1月時点)

お気づきでしょうか? 後発品は、基本的に「2型糖尿病」にしか使えません。 1型糖尿病、慢性心不全、慢性腎臓病の患者さんに対して、ジェネリックで調剤することは認められていないのです。

【深掘り】なぜ効能が消える?「用途特許」と「虫食い適応」のカラクリ

「成分は同じなのに効能が違う」。この謎を解く鍵は、医薬品特許の複雑なルールにあります。 薬剤師として知っておきたい、特許の「4つの種類」と「延長ルール」について解説します。

医薬品を守る「4つの特許」

実は、一つの薬はたった一つの特許で守られているわけではありません。主に以下の4種類が組み合わさって鉄壁の守りを作っています。

  1. 物質特許
    「ダパグリフロジン」という有効成分そのものの特許です。これが生きている間は、他社は絶対に同じ成分の薬を作れません。
  2. 用途特許(今回の主犯)
    「この成分が〇〇病に効く!」という発見に対する特許です。
    例:糖尿病への効能(特許切れ) ・例:心不全への効能(特許残り!)
    フォシーガの場合、物質特許は切れたのでジェネリックが作れるようになりました。しかし、「心不全」や「腎臓病」という新しい使い道の特許(用途特許)がまだ残っているため、ジェネリックメーカーはその効能を説明書に載せることができないのです。
  1. 製剤特許
    「溶けやすくした」「安定化させた」などの工夫に対する特許です。ジェネリックメーカーは、これを回避するために添加物を変えたり、独自の製法を編み出したりして開発します。
  2. 製法特許
    薬の「作り方」に対する特許です。

「特許の延長」がややこしさを加速させる

通常、特許の有効期間は出願から20年です。しかし、薬は開発や審査に長い時間がかかるため、特例で最大5年の延長が認められています。

フォシーガのような薬は、最初に「糖尿病薬」として発売され、後から「心不全薬」としての効能が追加されました。 すると、「糖尿病の特許期間」と「心不全の特許期間」にズレが生じます。

・糖尿病の特許:期間満了 → ジェネリックOK
・心不全の特許:まだ期間中(延長分含む) → ジェネリックNG

このタイムラグが、今の現場で起きている先発とジェネリックで適応の違いが出る原因です。

【まとめ】

・フォシーガのジェネリックは、現状「2型糖尿病」にしか使えない。
・成分特許が切れても「用途特許」が残っていると、適応症にズレが生じる(虫食い)。

参考資料

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/670227_3969019F1027_2_16
フォシーガ添付文書

https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00071784.pdf
ダパグリフロジン添付文書

https://vision00.jp/topic/10972
フォシーガGE、特許の壁を突破 沢井・T’sファーマの挑戦

https://www.inoue-patent.com/post/medicinalproduct-patent
医薬品分野の特許とは? 特許の種類や存続期間について解説




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