初めてのチャンピックス指導!ニコチンパッチや市販薬との違いと絶対に確認すべき2つの副作用

医薬品情報・DI

こんにちは、薬剤師のおちょおまんです。

先日チャンピックス錠の処方がありました。存在は知っていましたが、長い間出荷調整だったようで触るのは初めてです。

「えっ、これどうやって飲むんだっけ?」 「スターターパック? 」 「パッチとどう違うの?」

僕のように、ここ数年で薬剤師になった方は、実物を見るのが初めてという方も多いはず。 今回は、出荷再開に合わせて、チャンピックスの服薬指導ポイントを確認していこうと思います。

うわあああ! チャンピックスの処方が来たのだ! 初めて見るのだ!

おっ、ついに復活したのね。禁煙外来の救世主。

大学で習ったけど実物は見たことないのだ…。どう説明すればいいのだ?

大丈夫よ。ポイントさえ押さえればパッチより指導はシンプルかも。でも『アレ』を聞き忘れると薬事法違反レベルのミスになるから気をつけてね。



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なぜチャンピックスはニコチンなしで禁煙できる?パーシャルアゴニストの作用機序

まずは基本のキから。ニコチンパッチやガムとは根本的に仕組みが違います。

・ニコチンを含まない飲み薬
ニコチンパッチ(ニコチネルTTS)は、皮膚からニコチンを入れて離脱症状を和らげる「ニコチン置換療法」です。 対してチャンピックスは、ニコチンを含みません。

・作用機序:脳内のニコチン受容体に結合する「部分作動薬(パーシャルアゴニスト)」として働きます。アゴニスト作用とアンタゴニスト作用の二刀流が特徴です。

(1) 離脱症状の抑制: ニコチンの代わりに受容体に結合し、少量のドーパミンを出させることで「吸いたいイライラ」を抑えます(アゴニスト作用)。

(2) 喫煙による満足感の抑制: もしタバコを吸ってしまっても、受容体がチャンピックスで塞がれているため、ニコチンが結合できず「あれ? 吸っても美味しくない(満足感がない)」と感じさせます(アンタゴニスト作用)。

つまり、「イライラを抑えつつ、吸っても無駄だと思わせる」という二段構えの薬です。

スターターパックはどう飲む?0.5mgから1mgへの増量スケジュールと禁煙開始日

チャンピックスは徐々に用量を増やしていきます。 最初の2週間は「スターターパック」という専用のシートが処方されることがほとんどです。

・1日目~3日目:0.5mgを1日1回(食後) 白い錠剤です。まずは体に慣らします。

・4日目~7日目:0.5mgを1日2回(朝・夕食後) ここから1日2回になります。

・8日目以降:1mgを1日2回(朝・夕食後) ここから青い錠剤(維持量)に切り替わります。

➡︎12週間で治療終了となるが長期間の禁煙を確実とするために必要に応じて服用を継続することも可能です。

【服薬指導のポイント:禁煙開始日】
飲み始めの1週間(1日目~7日目)は、タバコを吸ってもOKです。 薬の血中濃度が上がってくる「8日目」から禁煙をスタートします。 (※自然に吸いたくなくなれば、早めにやめてもOK)

チャンピックス投薬時に絶対確認!自動車の運転禁止と吐き気への対策

チャンピックスを投薬する際、避けて通れない説明が2つあります。

自動車の運転禁止
添付文書の「重要な基本的注意」欄に記載されています。 「意識障害」や「めまい・眠気」が現れることがあるため、服用中は自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事させないこと、とされています。 これは「眠気が出たら控えて」ではなく「服用中は一律禁止」という厳しい縛りです。 車の運転が必須の方はニコチンパッチでの治療となります。必ず投薬前に「お車は運転されますか?」と確認してください。

吐き気(頻度高)
非常に高い確率で「悪心(吐き気)」が出ます。 胃がムカムカする感じですが、多くの場合は「コップ一杯の水」でしっかり飲むことや、「食後すぐに服用する」ことで軽減できます。 「最初は気持ち悪くなるかもしれませんが、2週間くらいで慣れてくることが多いですよ」と添えると親切です。

チャンピックスとニコチネルTTS(パッチ)の違い

患者さんから「パッチとどっちがいいの?」と聞かれた時のための比較表です。

・ニコチンパッチ(ニコチネルTTS)
メリット:1日1回貼るだけ。運転制限がない。
デメリット:皮膚がかぶれやすい。汗で剥がれる。ニコチンを摂取し続けることになる。

・チャンピックス(バレニクリン)
メリット:成功率が高い(と言われている)。肌が弱い人でも使える。ニコチンを含まない。
デメリット:運転禁止。吐き気が出やすい。飲み方が少し複雑。


【番外編】市販薬(OTC)の禁煙補助薬じゃダメなの?

「病院に行くのが面倒だから、ドラッグストアで買いたい」 患者さんからそう相談されることもありますよね。 現在薬局やドラッグストアで購入できる禁煙補助薬には以下のものがあります。

第一類医薬品:ニコチネルパッチ(貼り薬)
指定第二類医薬品:ニコレットなど(ガム)

これらと、医療用(処方薬)には決定的な違いがあります。

チャンピックスとOTC禁煙補助薬の違い

市販のパッチやガムは、すべて「ニコチンを含んでいる」薬です。 タバコの代わりに体へニコチンを入れる「ニコチン置換療法」なので、医療用の「ニコチネルTTS」と同じ仲間です。 一方、今回紹介したチャンピックスは「ニコチンを含まない」飲み薬です。ここが最大の違いです。

ニコチネルTTSと第一類医薬品ニコチネルパッチの違い

最大サイズ(30)が存在しない
医療用のニコチネルTTSには30、20、10の3サイズがありますが、市販薬のニコチネルパッチには20、10の2サイズしかありません。ヘビースモーカーの方がいきなり市販のパッチ(サイズ20)で始めると、ニコチン量が足りずに離脱症状が出て失敗する可能性が高くなります。

貼付時間の違い(24時間 vs 起床時から就寝前)
厳密には貼付時間も異なります。医療用のTTSは24時間貼付ですが、市販のパッチは副作用に配慮し、起床時から就寝前まで(約14〜16時間)となっています。どちらも含有するニコチン量と吸収のペースは同等ですが、市販薬は安全面をより考慮した設計になっています。



チャンピックスの使い方まとめ

・チャンピックスは「ニコチンを含まない」部分作動薬(パーシャルアゴニスト)。

・最初の2週間は「スターターパック」を使い、徐々に量を増やす。

・飲み始めの1週間は喫煙OK。8日目から禁煙スタート。

・【最重要】服用中は自動車の運転が禁止。必ず確認する。

・副作用の「吐き気」は、食後すぐ多めの水での服用で対策する。

参考資料

https://www.pfizerpro.jp/api/vc/ja/content/material/beef29fa-d409-437a-9780-de95e87afcd4/CHX54E001I.pdf
チャンピックス 禁煙治療ガイド

https://www.pfizerpro.jp/api/vc/ja/content/material/e9dd2927-5c2b-4f3a-b7fc-904effa5164d/CHX54D001H.pdf
チャンピックス 患者指導用下敷き

https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00048929.pdf
ニコチネルTTS 添付文書

https://www.nicotinell.jp/p_otc/site/pdf/patch_caution.pdf
ニコレットパッチ 添付文書

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