【高齢者てんかん】薬剤選択のポイントは相互作用!!カルバマゼピンとラモトリギンの使い分けって?

医薬品情報・DI

はじめに

こんにちは、薬剤師のおちょおまんです。 先日、薬局で以下のような処方に出会いました。

70代男性
・今回追加:ラモトリギン(LTG)(ラミクタール)
・併用薬:アマルエット、シロスタゾール

実は今、60代以降の発症が急増しています。 そして、この患者さんに「昔ながらのてんかん薬(カルバマゼピン)」を出すと、全身の治療が崩壊する恐れがあるのです。

今回は、「焦点・全般てんかんの違い」と、高齢者薬物療法のキモである「相互作用」について解説します。

おじいちゃんがてんかん? てんかんって子供で発症する病気じゃないのだ?

そのイメージがもう古いのよ! 実はてんかんの発症率は『U字型』。子供と高齢者が一番多いの。

しかも高齢者のてんかんは『倒れない』ことが多いから、認知症と間違われて発見が遅れることもあるのよ。治療薬の選択にも高齢者ならではの注意点があるから絶対覚えといて!

【基礎知識】「全般てんかん」と「焦点てんかん」の違い

まず、てんかんの種類を整理しましょう。ここを理解すると、なぜ高齢者の症状が分かりにくいのかが見えてきます。

全般てんかん(Generalized Epilepsy)

・特徴:脳の「全体」が一気に興奮する。
・症状:意識を失い、全身がガクガク痙攣する(強直間代発作)ことが多い。

焦点てんかん(Focal Epilepsy)

・特徴:脳の「一部(焦点)」から興奮が始まる。
・症状:興奮する場所によって症状が違う。意識はあるが片手がピクつく、一点を見つめて動作が止まる、など。

高齢者は「焦点てんかん」が圧倒的に多い

高齢者てんかんの原因の多くは、脳梗塞や脳出血の後遺症、あるいは脳腫瘍などの「脳のダメージ」です。 ダメージを受けた「一部の場所」から異常電流が発生するため、ほとんどが「焦点てんかん」となります。(原因不明のものも多いです。)

そのため、派手に倒れることは少なく、 「数分間ぼーっとする(意識減損)」 「口をペチャペチャさせる(自動症)」 といった地味な発作がメインとなり、これが「認知症」と誤診される最大の原因なのです。

高齢発症てんかんでの選択薬はなに?

高齢者で多い部分発作に対するガイドライン上の推奨薬を見てみましょう。

合併症・併存症のない高齢者の部分発作
カルバマゼピン(CBZ)、ラモトリギン(LTG)、レベチラセタム(LEV)、ガバペンチン(GBP)

合併症・併存症のある高齢者の部分発作
レベチラセタム、ラモトリギンが推奨

https://hcp.ucbcares.jp/epilepsy/disease-info/guideline/cq3-7

【酵素誘導作用】なぜ「カルバマゼピン」はダメなのか?

焦点てんかんの第一選択薬といえば、長年「カルバマゼピン(CBZ)」が王道でした。 しかし、今回の患者さんにカルバマゼピンを出すことは、薬剤師として全力で阻止しなければなりません。

その理由は、患者さんが飲んでいる「併用薬」にあります。

・アマルエット(アムロジピン+アトルバスタチン)
・シロスタゾール

これらの薬はカルバマゼピンの「酵素誘導作用」の影響で効果が減弱してしまいます。もともと治療していた症状の方で悪影響を及ぼす可能性が大きいです。

高齢者ならではの薬物動態から考える注意点

注意するべきは併用薬だけではありません。

高齢者は低アルブミン血症になっていることが多いです。蛋白結合率の高い薬物はフェニトイン(PHT),カルバマゼピン(CBZ),バルプロ酸(VPA)など。特にフェニトインは蛋白結合率が約90%と高く、低アルブミンの影響を強く受けて中毒域になりやすいため注意が必要です。

【最適解】救世主「ラモトリギン」のメリット

そこで選ばれたのが、今回処方された「ラモトリギン(LTG)」です。 ガイドラインでも、「合併症のある高齢者」にはラモトリギンやレベチラセタムが推奨されています。

・最大のメリット:酵素誘導をしないラモトリギンは、他の薬の代謝にほとんど影響を与えません。 アマルエットもシロスタゾールもそのままの効果を維持しつつ、てんかん治療だけを追加できるのです。

・注意点:皮膚症状と増量ペース 相互作用の点では優秀ですが、ラモトリギンには「重篤な薬疹(SJS等)」のリスクがあります。

【まとめ】

・高齢者てんかんは、脳の一部が興奮する「焦点てんかん」が殆どである。

・「ぼーっとする」だけの発作が多く、認知症と間違われやすい。

・併用薬が多い高齢者に「カルバマゼピン(CBZ)」を使うと、相互作用が問題となる。

・相互作用が少ない「ラモトリギン(LTG)」は高齢者に最適だが、薬疹を防ぐために少量からの開始が必須である。


参考資料

https://jes-jp.org/pdf/aged_epilepsy.pdf
高齢者のてんかんに対する診断・治療ガイドライン

https://hcp.ucbcares.jp/epilepsy/disease-info/guideline/cq3-7
CQ3-7 高齢発症てんかんでの選択薬はなにか

https://www.ncnp.go.jp/hospital/guide/docs/tenkan_text_02.pdf
てんかんと認知症の色々な関係

https://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/ktenkan.pdf
標準的神経治療 高齢発症てんかん




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