はじめに
こんにちは、薬剤師のおちょおまんです。
今回は、患者さんからの質問No.1といっても過言ではない「目薬のさす順番」についてです。
「5分あけてくださいね」は言えても、「なぜこの順番なのか?」「この薬、書いてないけど振るの?」といった細かい疑問までクリアに指導できていますか?
特に、名前に「懸濁」と書いていないのに振らなきゃいけない「隠れ懸濁性点眼」は、新人薬剤師が必ずハマる罠です。今日はそこも含めて深掘り解説します!

目薬の注意点なんて『5分あける』『懸濁液は振る』くらいなのだ。余裕なのだ!

あま〜い!その知識だけだと、患者さんの治療が失敗しちゃう可能性があるよ。特に懸濁性点眼とゲル化点眼に気をつけな!
基本のルール:水溶性➡︎懸濁性➡︎ゲル化➡︎眼軟膏
複数の点眼薬を併用する場合、大原則はこの順番です。
- 水溶性点眼液(サラサラ)
- 懸濁性点眼液(粒子あり:フルメトロン等)
- ゲル化点眼液(ネバネバ:チモプトールXE等)
- 眼軟膏(ベタベタ:プレドニン眼軟膏等)
【要注意】名前に「懸濁」と書いてない「隠れ懸濁性点眼」
ここで一つ、新人薬剤師が陥りやすい「トラップ」について解説します。
エイゾプト懸濁性点眼液のように、名前に「懸濁」とあれば誰でも振るように指導できます。しかし、名前には書いていないのに、実は懸濁性という製剤が存在します。
代表的な「隠れ懸濁」
以下の薬は、必ず「使う前によく振ってください」と指導が必要です。
フルメトロン点眼液(0.02% / 0.1%)
- ここが罠: ステロイド点眼の代表格ですが、リンデロン(水溶性)と違って懸濁性です。振らずに使うと、最初は薄い上澄みだけで効果が出ず、最後の方は濃すぎて副作用のリスクが高まります。
「ゲル化」の仕組み違い
順番の3番目に来る「ゲル化点眼」。これらは効果を持続させるためにネバネバになりますが、「何に反応して固まるか」は薬によって全く違います。
① 温度で固まるタイプ
対象薬剤:リズモンTG、オフロキサシンゲル化点眼液
これらは、容器の中(室温)ではサラサラの液体ですが、「体温(約36℃)」に触れることでゲル化します。温度が上がることでゲル化するため10℃以下での保管が必要です。室温で保管してゼリー状に変化してしまった場合も品質には問題なく冷蔵庫で30分以上冷やすと元の液体に戻ります。
仕組み:メチルセルロースなどが温度上昇で粘度を増す性質を利用しています。
② ジェランガム
対象薬剤:チモプトールXE
これは涙に含まれる成分に反応します。チモプトールXEは揺変性(チキソトロピー)があるため放置により粘性が増します。使用時は点眼瓶を下に向け1回振ってから使用します。
仕組み:添加剤の「ジェランガム」が涙液中のナトリウムイオンと接触することでゲル化します。
③ アルギン酸
対象薬剤:ミケランLA、ミケルナ配合点眼液
これらは「アルギン酸」を利用しています。
仕組み:添加剤の「アルギン酸」が涙液中のカルシウムイオンなどと反応することでゲル化・増粘します。
ゲル化点眼液共通の鉄則!「最後」&「10分」
ここまで解説した通り、リズモンTG、チモプトールXE、ミケランLAなどは、それぞれゲル化するきっかけは異なります。
しかし、服薬指導におけるゴール(指導内容)は全て共通です。 仕組みが違っても、最終的に「目の表面でゲル状の膜を作る」ことには変わりないからです。
黄金のルール:【10分以上空けて、最後に点眼する】
通常の点眼間隔は「5分」と指導しますが、ゲル化点眼液が含まれる場合は指導が変わります。
「他の目薬から10分以上空けて、一番最後に点眼してください」
このフレーズを必ず添えるようにしましょう。これには明確な理由があります。
理由①:薬剤の吸収阻害を防ぐため(最後にする理由)
ゲル化した製剤は、目の表面に滞留し膜を作ります。これを先に点眼してしまうと、後からさした点眼液がゲルの膜に阻まれて浸透できず、効果が激減してしまいます。
理由②:ゲル形成を安定させるため(10分空ける理由)
前の点眼液を使ってすぐにさしてしまうと、液同士が混ざり合ったり、十分な涙液量が確保できないことも。すると、薬液がきちんとゲル化しない(固まらない)可能性があります。ゲル化には適切な涙の成分や濃度が必要だからです。

なるほどなのだ。でも5分待つのも長いのに、10分は長いのだ…。

そこは患者さんの生活スタイルに合わせて提案よ!

『朝の支度の最初と最後に分ける』とかね。大事なのは、ゲル化剤を最後にすることって覚えればOK!」
【まとめ】
- 点眼順序の鉄則は「水溶性 ➡︎ 懸濁性 ➡︎ ゲル化 ➡︎ 眼軟膏」
- フルメトロンなど名前にないが「懸濁性点眼液」なものに注意
- ゲル化点眼は10分以上空けて最後に点眼
- ゲル化点眼には冷所保存が必要なものがある
参考資料
https://med.kissei.co.jp/dst01/pdf/di_rt.pdf
リズモンTG点眼液添付文書
https://www.wakamoto-pharm.co.jp/upd/medic/0000000011_01.pdf
オフロキサシンゲル化点眼液0.3%「わかもと」添付文書
https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00051545.pdf
チモプトールXE添付文書
https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00053111.pdf
ミケランLA 添付文書
https://pharmacist.m3.com/column/special_feature/5332
【点眼薬の順序をおさらい】ゲル化製剤や眼軟膏を使用タイミングや間隔を知ろう
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